遺産分割協議と成年後見制度について

こんにちは。司法書士事務所マルニキリ代表の嶋田でございます。
最近、相続登記に関連して、成年後見制度(後見・保佐・補助)についてのご相談が増えてまいりました。
簡単ではありますが、同制度についての概要に触れておこうと思います。

成年後見制度は
①精神上の問題によって物事を理解できなくなった方(本人)について
②本人自身や親族等の利害関係人が家庭裁判所に申立を行い
③家庭裁判所が適任者を成年後見人等として選任
大まかには以上の手続を踏んで後見が開始します。

選任された後見人等は、本人の法定代理人として、本人の利益を守る役割を担うと同時に、監督機関(通常は家庭裁判所)に対して種々の報告をする義務を負います。
後見人等の義務は、特別な事情のない限り、本人が死亡するまで続きます。
ポイントとなるのは①本人の利益のために存在すること、②原則として本人の死亡まで続くこと、以上の二点です。

ここで、共同相続人となった方が認知症その他の精神疾患をお持ちの場合、遺産分割協議の当事者としての適格性(複雑な利害得失を正確に認識した上で、協議内容に合意できるか否か)に
疑義が生じることとなります。
その適格性がないことが明らかである時、遺産分割協議を完結させたい場合は、成年後見制度の利用が必須となります。
この場合、成年後見人等が本人に代わって、同協議に参加することとなります。
なお、成年後見人等自身が同協議の参加者(本人も後見人も共同相続人となるパターン)となった場合は、利害関係が衝突するため、別の代理人を立てる手続が必要となります。

以上です。
単純明快にご説明したいところですが、法律の話は一般論にとどまればとどまるほど、あらゆる場面を想定しなければならず、自ずと複雑にならざるを得ません。
当事務所は、後見等開始審判申立に関する書類作成をお引き受けするだけでなく、私自身が専門職後見人等として活動もしております。
以上の説明ではご不明な点も多かろうと存じますが、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

では今日はこの辺で。
雪の降った神保町の写真を載せて失礼いたします。

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